花緑青の庵 はなろくしょうの いおり






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竹の皮は 細く編み込まれると考えられないほど強度を増す。
ラビは丹念に編んだ竹の紐を太い柱にシッカリと縛り付けると
神田の体と手と足のそれぞれを キツク縛って四方に広げるように吊り下げた。
両足の付け根の股の間にも竹の紐は通され体の重さを分散させる。

それでも持ち上げられた体は細い竹の紐が少しずつ食いこんでくる。

「ァァァ・・・や・・めろ・・」

手首の足首も動かすとそれだけ紐が食い込んでくる。
いったいどうしてラビが自分にこんな事をするのか
いくら考えても神田には分からなかった。

「ホントにユウは いやらしいさ
 白装束から見え隠れする肌だけで
 オレを 誘ってるんだから・・・」

「なに・・バカなこと言ってる・・・
 お前・・ドコか おかしくなっちまったのか?
 ラビ! こんな事 やめてくれ・・こんなことして なんになる・・」

「だから 言っただろう?
 全部 忘れさせてやるってさ」

ラビは自分の着ている白装束の懐から短刀を取り出し柄を持って引き抜くと
そこにはやけにギラギラと光る銀の刃が見えた。

「ユウの肌に付いた すべての穢れを まずは この切っ先で
 削ぎ落としてやるさ・・・」

短刀の刃を赤い舌でペロリと舐めると またニヤリと笑って吊り上げた神田を
荒々しく引き寄せた。
その瞬間に体が悲鳴をあげる。
戒められている箇所が一斉に まるで切り落とされるように痛み出した。

「ッアァアッァァアアアァアァ・・・」

「気持ちいいさ?
 もっと声出して・・ユウ
 この痛みで 過去の痛みもすべて忘れさせてやるさ」

「やめ・・ろ・・・やめて・・くれ・・ラビ・・いやだ・・」

痛みに強い神田でもサスガに四肢を戒められ食い込んでくる竹の紐の痛みに
頭の中がクラクラしていた。

ラビは引き寄せた神田の体の上にユックリと刃先を擦り下ろしていく。
一歩間違えれば その切っ先がザクリと肌を刺す。
刃先が首筋を摩り下りた時わずかばかりに動いた神田の肌にウッスラと
一筋の血が流れ出した。

ラビは それを見ると翠の瞳を嬉しそうに細めてペロリと舐め上げた。
その感触にゾクリと自分の体が粟立って来るのを どうにも出来ない。
再び擦り下りていく刃先が 乳首を切り裂いた。

「ッ・・ァ・・」

乳首の先がジンワリと熱くなる。
滴る血が ポタポタと白い肌を鮮やか彩り始めた。

「きれいさ・・ユウ・・」
ラビは痛みに震える神田の唇に舌を深く差し込んで思う存分
吸い上げる。
ラビの舌からほんのりと 血の香りがした。
刃先は さらに進んで行き やがて足へと移っていく。
股の間には まだシッカリ白装束が纏わり付いている。
ラビは 躊躇無く切り裂いて行くと あらわになったソレを口に含んだまま
股に刃先を当てて擦り落としていく。

自分のソレを口に含まれる感覚と股を奔る刃先の感覚が
あまりにも心地よく 神田は声を上げてしまった。

「いい子さぁ・・ユウ
 気持ちいいさ?
 もっともっと 感じるようにしてやるさ」

「ァ・・・ァァ・・ァ・・・」

ラビの舌はソレを満遍なく舐め回しながら時折先だけを
強く刺激する。
その度に神田の体はビクリと反応し肌を滑っていた刃先が白い肌を
薄く切り裂いていく。
滴る血は網目のように白い肌に衣を着せていく。
ラビの指はその血を掬い取ると神田の蕾に入り込んだ。
しかしいきなり指が入っても神田の蕾は まるで待っていたかのように
ラビの指を飲み込んだ。
それを見てラビは またニヤリと笑って言った。

「ユウ・・・そんなに 欲しいんさ?
 困ったさ〜・・ だけど まだまだ あげるわけにはいかないさ・・」

刃先は丹念に神田の足先まで滑って行く。
ラビは神田の全身を滑り終わった刃先をベッタリと舐めた。
自分の舌が少し切れてもお構いなしにニヤニヤ笑いながら。
神田は尋常ならざるラビの様子に恐ろしさを感じて叫びだしそうになった。
恐怖に震える神田の瞳に満足したのか ラビは一旦神田の体から離れると
自分の腰帯をほどいた。
スルリと落ちる帯。フワリと前が開いてラビの素肌が現れた。

そして一瞬 神田は息を呑んだ。
何故なら ラビのその左胸には 自分の胸にあるはずの梵字が刻まれていたからだ。

   バカな!
   いったい どう言う事なんだ・・・
   なんでラビの胸に オレの・・

「驚いたさ?」

ニヤニヤ笑いながらラビは 自分の左胸の梵字を愛しそうに撫でた。



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